陰翳礼讃

当館の客室は「招月楼」「観月楼」「光月楼」と
3タイプあります。

お客様によって好みはありますが
当館にお越しなら ぜひ一度は泊まってみてほしい建物が
登録有形文化財に指定されている「招月楼」。

今日は「招月楼」のご案内です。

当館の創業は江戸末期ですが 明治36年の古川大火で焼失したため
その翌年に建て直した「招月楼」は今年で117年めを迎えます。

宮大工による再建で当時の商家風の造りになっています。

電気のない時代に建っているこの建物は
玄関は3階建てほどの吹き抜けになっており
朝 見学していただくと 2畳ほどの明り取りの窓から差し込む光だけで
ずいぶん明るいという事を感じていただけます。

パンフ・本館

川沿いに3部屋並ぶ客室は それぞれ間取りも室礼も違いますので
次はこの部屋。。。なんてお選びいただくのもいいかもしれません。

そして何と言っても これらの部屋に泊まる醍醐味は
この景色。
夜、部屋の電気をすべて消すと
何とも幻想的な景色が写しだされ おもわずうっとり。

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とはいいながらも
当時のまま継承しているため 五感に感じる負の遺産も引き継いでいます。

情緒を保つために館内全体にろうそくの明かりのような
電球色を使っていますので 視力の弱い方には
くらい館内だと思われるかもしれません。

また音は水のように隙間を通り抜け流れていきます。
お天気の悪い日は屋根にたたきつける雨の音や
いつもより流れのはやい川の音
夜分はお隣の声なども気になることもあると思います。

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日本人は時代を経てできた緑青や
蹲に生えた苔、長年の手油で味わいが深まった器や
黒くさびた銀器などなど その自然の姿かたちの変化を
独特の感性で愛で楽しむことができます。

衣食住すべてが西洋の様式に変わりつつある中において
当館にお越しの際は
時に磨かれた日本の風情に横たわりながら
楽しんでいただければ幸いです。

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