1つで3度美味しい

「若女将さん、着物着替えてきて!後ろスリット入ってるよ」

スタッフの声で振り返ると
背縫いの部分が裾(すそ)から20センチほどホツれ。。。。

仕事柄、朝から晩まで
一年365日、着物を着ているような私たちにとって
着物が“破れる”“ほつれる”などと云うことは『日常茶飯事』。

歩くことで裾が擦り切れ、座って膝が破れ・・・

ちなみに今回のスリットは、
おしとやかに小股で歩いていない、動かぬ証拠a
大股で足早に進むことでこのような結果を導き出してしまうのです。

このようなことも多々あるので
年間では50着くらいの“仕事着”のストックが必要。
洋服と同じように 春になれば春らしい柄のものを着たいし
夏になれば 紗や絽の涼しげなものを
秋になれば しっとりとした深みのある色のものや
冬になれば 館内にいらっしゃるお客様の目も楽しませてあげたい
などなど 勝手な理由をつけて 買い足しております。

女性ならではの贅沢として 綺麗な着物を毎日着られるということは
とてもうれしいことだなぁと いつも感謝しながら袖を通します。

私達が着ている仕事用の着物は 
ちょっとお出かけ用の洋服を買うくらいのものですが
なんといっても “キモノ”の素晴らしいところは、
一度破れたらオシマイ。。。ではなく
小紋や無地は最低2度 
うまくいけば3度まで縫い直しが出来ることです。

着物はご存知のように、長方形の布を張り合わせて出来ているので
それらを一度ほどいて
破れた所を外から見えない部分
(例えば帯の下にくる処だったり、下前の部分だったり)
と入れ替え、縫い直しをします。

それでも1回縫い直す毎に少しづつ“丈(たけ)”が短くなるので
3回転出来れば、万万歳!というわけです。a

そして 着古して着つぶした後は『端切れ』へと分化し
可愛いお人形の布地になったり、小袋になったり、
綿を入れて座布団になったり。。。

当館の小物のいくつかは 第2の人生を楽しむ
愛着のある着物生地だったりするのです。

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