文化財と耐震性と飛騨の岩盤と。。。

先日 当館に頂いたお問い合わせのメール

『突然メールをお送りし、失礼いたします。
秋の旅行に宿泊を考えておりますが、
今回の大震災を受けて耐震性などが気になっております。
耐震に関しての取り組みをおきかせください。』

今回の大震災を受けて心の傷を負われた方、
ご自宅が大変な被害を受けられた方は
楽しいはずの旅行先でも 不安が募り 
心からリラックスができなくなっていらっしゃることと思います。

当館の建物は、明治38年築の『招月楼』を始め 昭和10年築の正面玄関など
国登録有形文化財の木造建築が大部分を占めており 
建築基準法上の新耐震基準(昭和56年以降の建物)には適合しておりません。

ただし 多くの方の有識者の見解から 
ここ飛騨の地は 日本の土台となる頑強な飛騨片麻岩帯をはじめ
日本最古級の岩石を至る所に見ることが出来るそうです。

北アルプスの火山帯のマグマ帯は地震波をさえぎり 
東日本の地震は殆どが減衰されてしまいますし
台風による東寄りの風も3000m級の北アルプスにより
遮られて殆ど影響を受けません。

河川などに露出しているのは飛騨片麻岩といわれるもので
片麻岩という岩石は,変成岩の中でも
とくに強い広域変成作用を受けた岩石なので、
かなりの硬さと重さがあり これらの見地から
飛騨は地盤が固いといわれているようです。

そもそも雪害や飢饉といった苦難の多かった飛騨の地にあっては
有史以来、大きな地震に見舞われたことが殆どないとのこと。

もちろん だからといって安心しているわけではございませんが
明治から昭和初期という良質の木材が豊富にあった時代に 
巨額の費用を投じ、選りすぐりの材料と
現在でも伝え続けられる飛騨の匠の建築工法を
駆使して立てられた建物ですので 
何かあったときに当館だけが。。。ということは決してないと思っています。

また、昔ながらの宮大工さん曰く、
しっかりとした梁を渡してある建物は
その振動を分散させる効果が大きいことから、
現代の耐震基準とは異なる観点で“丈夫だ”とも。
  
そうはいってもこの細長い島国は地震列島。
いつ何時?ということが絶対にないとは勿論言い切れません。

今年からは定期的に行う火災訓練と併せて地震訓練も行うなど、
ソフト面での対応もしっかりと考えたいと思っております。
  
本館玄関.JPG

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