春の香り

調理場のヒロさんが 『春蘭』を摘んできてくれました。

山はまだまだ春が浅いこの時期、
春蘭は雑木林など、日中でも木漏れ日が差す程度の
あまり人目につかない場所に自生しています。

同じ春の花でも 蕗の薹やタンポポやのような日のあたる場所ではなく
ひっそりと人知れず 可憐な花を咲かせます。

「春に咲く蘭」だから「春蘭」というそうですが 
花の姿をよく見ると 上のほうには ばあ様がかぶる“ほっかむり”
下のほうには じい様の白ひげがあることから
別名「じじばば」とも言うそうです。

「蘭に国香有り」といわれ、
その育った場所によって芳香が違うといわれています。

山間に静かにほのかな香を放って咲く一茎一花のこの花を、
文人たちは貞節としてその気高さをこよなく愛し 
好画題として美術品にもよく描かれています。

花を塩漬けにしたものを「蘭湯(らんゆ)」として祝いの席に使ったり 
当館ではお造りのあしらいなどで季節を楽しんでいただいております。

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